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しばらくは恥ずかしさもあって顔を上げることも出来ずにいたが、今夜に限って立ち去ろうとしない啓介の足が見えて、拓海はそろそろと顔を上げた。 啓介は、別に怒っている風でもなく、拓海の真正面でFDに凭れて2本目のタバコを燻らせている。 「すみません……でした……」 啓介の、しかも口の中に放ってしまったのだ。 なんと言って謝れば良いのか分からずに、ただただ「すみません」を繰り返す。 「謝んなよ……でも、これで楽になったろ?」 「あの……!」 拓海は勇気を振り絞って聞いた。 「ん?」 「啓介さんって、その……同性愛、者……とか、なんですか?」 んーと啓介は夜空を見上げ、複雑な顔をしている。 「す、すみません。答えたくないなら別にいいです。でも、俺、別にそういう人達に偏見とか持ってない……」 一生懸命言い募る拓海の言葉を、途中で啓介が遮った。 「……男に興味を持ったことはねえよ。……お前に興味を持ったことならあるけどなー」 啓介は煙草を深く吸い込んで、アスファルトに座り込んでしまった拓海を見ている。 (……あ) 座り込んでしまった拓海が顔を上げると、ちょうど少し上に立っている啓介の下半身が目に入った。 心なしかソコはゆったりとしたジーンズの布を押し上げているようにも見える。 啓介も『熱い』といっていた。 おそらく、拓海と同じ『ヤバイ状態』なのだろう。それなら、同じ方法で、啓介の熱を開放する事ができるのかもしれない。 引き寄せられるように、拓海はおずおずとそこへ手を伸ばした。 啓介は、逃げもせず、何も言わず、それを受け入れた。拓海の手に硬くて熱いものが、触れた。 それがおそらく、啓介の――『熱』だ。 自分がそうしてもらったように、啓介の熱も解放してやりたい一心だった。まだ力の入らない手でたどたどしくベルトを外し、ジッパーを下げる。ジーンズの前たてを寛げると、下着の上からもはっきりと分かるほど、それは硬く大きくなっていた。 「啓介さんのも、俺が……楽にしていいですか?」 「そりゃ……」 一瞬、啓介が口ごもる。 「そりゃ、いいけど……無理はすんなよ……」 啓介は自分で下着から張り詰めたペニスを取り出した。 見上げれば、拓海を見下ろす少し眇めた眼の奥に、情欲の色が滲む。 拓海も知るとおり、男の身体は正直だ。欲しいものは欲しいし、ある一定のレベルを超えると、我慢も出来なくなる。 啓介はそんなレベルの狭間を行ったりきたりしているような顔で、拓海の頬を手でなぞり、それから待ちきれないといった様子で自らの手でペニスを数回扱いた。 目の前の啓介のペニスは、先走りの露でぬらぬらといやらしく光り、腹につくほど反り返って雄雄しく天を仰いでいる。 自分にもついている男性器を口に含む。手で扱くよりも、それははるかに覚悟のいる行為だった。 拓海は、覚悟を決めると――とにかく啓介自身を口に含んだ。 熱い。 やっぱり啓介も自分と同じくらい熱かったのだと確信する。 両手で啓介自身の茎を支え、先端をゆっくりと口の中へ納めてゆく。青臭くてほの苦い味がしたが、気になるほどでもない。数回頭を上下に動かすと、それに反応して、口の中の啓介がビクビクと震えた。 そして一旦口を離すと、上目遣いに啓介を見上げる。 啓介は――煙草の灰が長くなっているのも気づかずに、拓海を見下ろしていた。 それに答えるように、さっきの啓介を思い出して、めいっぱい舌を出して裏筋を根元から先端に向けてべろりと舐めた。 啓介のペニスが、また、ビクリと反応する。 反応してくれたことが嬉しくて、両手を添えて唾液を絡めてべろべろと何度も舐め上げた。 啓介がしてくれたように、先端に吸い付いて、くびれを擦って、くちゅくちゅとわざと音を立てて愛撫した。 無我夢中で、内に篭もって出口の無い熱を開放するために、愛撫を施す。 「ふじわ……ら……」 熱っぽい声で啓介が名前を呼ぶ。 舌を出したまま見上げると、熱にうかされたような啓介の視線と絡まった。 啓介の息も少し上がっているようで、肩で息をしている。 半開きの口から吐き出される息の音が、宵の風に紛れて、聞こえる。 「も……イキそ。……口に含んで……根元を手で扱いて……」 啓介のペニスは、早く開放してくれと言わんばかりに青筋を立てて、ビクビクと脈打っている。 啓介に言われた通りに、竿を唾液でたっぷりと濡らしてから口に含んだ。 先端を舌で丹念に刺激しながら、根元を手で扱き上げる。 溢れた唾液で、咥えた口と扱く手から、くちゅくちゅと卑猥な音が響く。 扱く手の早さを早めると、啓介の腰がピクリと揺らめいた。 「……う」 拓海の後頭部に添えられた大きな手に力が入る。 開放まで、あと少し、のようだった。 「う……っ……!」 啓介のくぐもった声が聞こえる。 「も……イクっ――」 そんな呟きが聞こえたのと同時に、啓介のペニスがずるりと拓海の口と手から抜き取られた。 拓海の唾液がパタパタとアスファルトに零れた。拓海の唾液が糸を引いて垂れているそれを、啓介は自分の手で数回扱いて、アスファルトに放った。 拓海もハチロクもFDも汚さないように。 熱の塊を、ぱらぱらと撒き散らす。 やがて、啓介はふーっとため息を一つついて、乱れた服をさっと直した。 その後姿を、拓海はただ見つめていた。 「サンキューな……」 そう言って、拓海と目線を合わせるようにしゃがみこみ、まだ座り込んでいる拓海の唾液で湿った唇に、キスを一つした。 二人だけしか知らない熱さ。 身体の内側に篭もって、開放を強請る熱。 このままヒートアップしていけばどうなるんだろう、と思わなくもなかったが、火照った顔の啓介を見ているとどうでもよくなってしまった。 そんな表情を引き出したのが、紛れもなく自分であると思うと、じわりと胸の奥が暖かくなる。 (どうして……胸が……?) まだ熱の覚めやらぬ頭で考えながら、差し出された啓介の手を借りて、拓海はやっとの思いで立ち上がった。 |