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一筋の皺もなかった完璧にベッドメイクされたアイボリーのベッドが、拓海のむき出しの背中と、拓海に群がる男たちの膝で、だんだん乱れてくる。 3人の男達は、砂糖に群がる蟻のように、拓海の体を舐め回し始めた。 上半身だけ裸のヤツも居れば、まだきちっと服を着込んだままのやつもいる。全裸なのは拓海だけ。 しかし、どの男もあまりガラが悪そうな外見ではない。 年齢は、涼介や啓介と同じくらいか少し上と言ったところだろうか?拓海よりは絶対に年上だろう。 …何かが、変だ…。 啓介は手持ち無沙汰の手で、髪の毛をかき上げる。 テレビからは衣擦れの音がするくらいで音らしい音は何もしない。 暗い部屋で、啓介が髪を弄るたびに凭れたベッドがキシ、と軋んで小さな音を立てた。 誰も拓海を殴ったり、蹴ったりはしていない。もちろん、喉元に刃物を突きつけられているわけでもない。 拓海の顔や体のどこにも殴られたような痣や傷は見当たらない。 なのに、拓海はされるがままに裸の体をベッドに横手たえている。 カメラの傍らに誰かが居て、そこに何か拓海の抵抗できない理由があるのだろうか? 拓海が体を晒しているベッドを、ちょうど真横から写すように配置されたカメラは全く動かない。 そこに固定されているのだろう。そして、そこに立つ人物を、拓海は時にチラリと見やる仕草をする。 拓海がカメラを見ると、テレビの真ん前で陣取っている啓介と視線が合う。 ドキリと啓介の心臓が跳ねた。 頭に上った血液が逆流する。こめかみはまだぴりぴりしている。 視界がぐらりと揺れたような気がした。 カメラのレンズ越しに啓介の眼を射抜いた拓海の鳶色の透明な眼は、信じられないほど艶っぽくて綺麗だった。 その美しさは、そう、欲情しているのを如実に表しているかのように火照った眼差しのせいだ。 3人の男たちは、舌や掌を拓海の白い肌に這わせていた。 拓海の陶器のように白い肌を見知らぬ男の掌が滑り、赤い舌が唾液を塗りつけるように味わうように這い回る。 両手は男たちに押さえられ、ベッドの上に貼り付けられたような格好だった。 そこに男たちが覆いかぶさる。 動こうとしない拓海に群がるハイエナのようだ。 1人が拓海の胸の先端をテロテロと舌で舐めると、他の男の手でやんわりと拘束されていた拓海の手の指先がピクリと動いた。 もう1人の男が、拓海の耳朶や首筋に湿った舌を這わせると、拓海は微かに身震いしたように見えた。 拓海はそられの刺激によって立ち上がってしまったペニスを、少しでも隠そうとしているのか、膝を閉じてくの字に曲げているのだが、 それは隠しようもなく硬くなって尖り、時折刺激に反応するかのようにピクリと身を起こしていた。 啓介は眼を疑った。 同じ男だから分かるその反応は……快楽を感じるているときの性器の動きそのものだった。 残りの一人が、ぴたりと閉じられた拓海の太腿の間に手を差し込もうとすると、 抵抗するかと思った啓介の想像をあっさりとくつがえし、拓海はしどけなく股を開いた。 男を求める女がそうするように。 何かを迎え入れるかのように。 ゆうるりと開いた拓海の太腿の間に男は顔を埋め、腿の内側に舌と手を這わせる。 そして、また拓海のペニスはピクリと反応する。 しばらくの間、その辺りをぺちゃぺちゃと嘗め回していた男は、拓海の膝の裏に手を掛けて、膝を押すようにぐいっと前へ押した。 拓海のうすべったい体がくの字に折れて、膝頭が胸に付きそうだ。 そうして露わになった拓海の後ろの穴を、またべろべろと舐める。 その間中、ほかの2人の男の手と舌が、絶え間なく体中を這い回る。 耳、首筋、くぼんだ鎖骨、脇腹、縦長の臍、浮きだた腰骨、力なく開いた指先にいたるまで知らない男たちに嘗め尽くされる。 胸の先端に舌が這うと、拓海は言葉にならない吐息を吐いて身を微かに捩る。 しかし、男たちはある一定の場所にだけは触れようとしなかった。 そこを意識的に避けているようにも思える。 男たちが愛撫を避けて通る場所は、たらたらとヨダレを垂らしているペニスと、充血したように赤い唇。 淡いアイボリーを基調とした上品なベッドで余計に目立つ拓海の唇。 さっきからずっと喘ぐように開いたままで閉じる事のないそれからは、甘い蜂蜜のような息が漏れているような気さえしてくる。 すると、その唇が「あっ…」という形に開いて、拓海はほんの少し眼を見開いた。 大きく開かされた拓海の足の間にはフルフルと震えるペニスがあって、その下には張り詰めた双珠がある。 淡いヘアに包まれたそれは使い込まれたとういう感じの全くしない、無垢な男性器。 男の一人が、更にその後ろ、拓海の後穴に指を1本差し入れていた。 他の男の手には潤滑剤が入っているらしいチューブが握られている。 ゆっくりと根元まで指は埋め込まれていく。 その指にたっぷりとつけられた透明なゼリーが、狭い穴の入口から溢れてぽとりとシーツに零れた。 指の根元まで埋め込まれ、そしてゆっくりと引き戻される。 何度も同じ動作が繰り返されていた。 その抽挿が早くなるにつれて、拓海の顎が上がって首が仰け反り、指が出入りするちゅく…という卑猥な音が大きくなってきた。 「……うぅ……ぁ…」 差し込まれる指は間もなく2本、3本と増えていった。 抜き差しされる指の本数が増えるのと同時に、拓海の吐息にも声が混ざり始める。 他の男たちも相変らず拓海の体中を撫でさすっている。 背中を捩る拓海のせいで、ベッドはだんだん乱れてきた。 その乱れたベッドの中央で、膝を大きく広げた拓海が苦しげに喘いでいる。 でも、辱められているといった雰囲気は微塵も無く、淡い光と暖かな色調の部屋に拓海のまだ成長しきっていない体が良く映えて、艶かしい映像になっていた。 啓介は、よくできたアダルトビデオを見ているような気さえしてきた。 しかし、拓海に覆いかぶさっているのは恋人の涼介ではなく、見知らぬ男達。 しかも、1人ではなく3人。 拓海には普段はこんな性癖があるのだろうか? 涼介だけでは満足できず、一度に複数のしかも同性の男に抱かれて、歓喜の声を上げる、そんな淫らな欲望が? 誰かがそれを知って映像に収め、俺たちを脅す意味でコレを送りつけてきたのだろうか? それともアニキとアイツが恋人同士だというのを知ってる誰かか? 「……あ!」 啓介の思考は、拓海の短い悲鳴によって中断された。 視線を画面に戻すと、さっきまで拓海の後孔を解していた男は、拓海の足を抱え上げた体勢で覆いかぶさっていた。 コンドームを被せた自分のペニスを握り、その先端をゼリーで滑る拓海の入口へ押し当てている。 男のペニスの先端が透明なゼリーとともに拓海の中へ入っていく。 にゅぷ…と濁った音を立てて、埋め込まれていく。 拓海の体を横から写しているその映像には、拓海が見知らぬ男の性器を、体内に飲み込んでいく様がくっきりと映し出されていた。 薄いゴムに包まれた亀頭が、続いて青筋の立った茎がゆっくりと飲み込まれていく。 「……う…ぁ…」 拓海は低く呻いて眉をしかめるが、その表情は拒否や苦痛を表しているのではない。 今まで色恋沙汰が絶えなかった啓介も良く見た事のある表情。 組み敷いた女が待ち焦がされて息を切らし、密を溢れさせる性器をやっとペニスで塞がれたときの顔にそっくりだった。 どくりと血液の流れる音がした。 啓介の心臓から下へ向かって大きな流れが下っていく。 生暖かく、どろりとした血液が自分の下半身に集中していくのを啓介は感じていた。 半ば本能のような体の反応で、意思とは関係なく性的な欲求が募ると血液はそこに集中する。 他のことでも考えればその反応は収まるかもしれなかったが、今、電気も付いていない部屋に座る啓介の目の前にはテレビがあるだけで、他に興味をそそられるものは何も無かった。 眼を離せない。 テレビの画面から一方的に垂れ流される映像から、いつしか啓介は眼が離せなくなっていた。 そして、その映像は啓介に性的な興奮を促す。 画面には今まで抱いた、柔らかな女の体はどこにも映っていない。 なのに何故眼が離せないのだろうか? 啓介のズボンの中で、ペニスは充血し硬くなり始めていた。 緩やかに生地を押し上げどくんどくんと心臓と同じリズムで脈打ち始める。 啓介の胸の中には、そこを自分の手で握り、上下に強く扱きたいという衝動が込み上げていた。 しかし、その衝動を煽っているのは実の兄、涼介の恋人で、自分や兄と同性で、今は見知らぬ男のペニスを飲み込んで悦びに眉をしかめる藤原拓海。 啓介はタバコを手に取った。ジッポで火をつけ、煙をくゆらせる。 啓介は自分の下半身に伸びてしまいそうになる手を、火の付いたタバコを持つ事でどうにか抑えていた。 拓海の後孔にペニスを抜き差しする男の腰の動きは見る見る早くなっていく。 組み敷かれている拓海は、両手をまだ他の2人にやんわりと抑えられているので、覆いかぶさる男にすがりつく事はできない。 ただ一方的に与えられる快楽に、眼を潤ませて、背中を少し持ち上げている。 挿入されたペニスが時折、感じるところを擦るのだろうか、そのたびに「…やぁ…」と甘い声で叫んで喉を晒す。 拓海にペニスを突き刺した男の腰の動きに合わせて、拓海の背骨はしなり、ベッドは軋んで、平らな拓海の胸は烈しい呼吸に上下する。 「……うっ…ん……ぁ…」 言葉になりきらない吐息がテレビのスピーカーから聞こえてくる度に、啓介の下半身もむくりと反応してしまう。 栗色の髪の毛を跳ね上げて頭を揺らしながら、掠めるようにカメラのレンズを覗く拓海の眼に、拓海の裸体で興奮している自分が見透かされているようで、啓介は落ち着かなかった。 |